外交の機微を逃すな。
2016/09/04
日本の国会が閉会中のこの時期、安倍外交が精力的に行われている。
先日の日ロ首脳会談において、12月にプーチン大統領が来日する事が決まりました。
ロシアとは平和条約が締結されておらず、戦後71年も経つのに、正式な2国間の「戦争終結」がなされておりません。
この問題の原因が「北方領土問題」であり、今回はこの問題に何らかの進展が有りそうな雰囲気です。
日本の学校教育では、北方領土は日本の固有の領土であり、ソ連が第二次大戦終了直前に、突然「日ソ中立条約」を
破棄して参戦し、どさくさに紛れて占領された。と教えていますが、世界の常識は違っています。
元々。千島列島には大多数のアイヌ民族とロシア人が居住しており、国家との概念もなく貿易をしたりしていました。
居住するロシア人は少数であり、その後アイヌ民族との友好関係が崩壊し、ロシア人は自然に居なくなり、代わりに
アイヌ民族は日本との貿易をするようになりました。
江戸幕府の末期に、幕府が武力にてアイヌ民族を隷属化したため、1855年に勝手に「日露通好条約」を締結して国境を
決めました。(南千島までが国境:国後・択捉島まで)
その後、幕府が明治政府となり、1875年に日露戦争の戦利品として、樺太の半分と千島列島全島を占領する事となりました。
1945年の第二次大戦の終結後を定めた、連合国の「ヤルタ協定」にてソ連は日露戦争にて失った樺太と千島列島を復元
する事を条件に、日本に参戦する事を連合国に約束しました。
(ソ連が日ソ中立条約を破棄して、悪の枢軸国である日本に参戦する事は、国連からの強い要請が有った為であり、世界では合法との認識です)
そして、降伏した日本は1951年のサンフランシスコ条約にて、樺太と千島列島を放棄すると宣言しました。(共産主義国であるソ連と中国は参加せず)
この時日本は、千島列島には南千島(国後・択捉島)も含まれるとの認識でした。
サンフランシスコ条約にソ連が参加していなかったので、日本は1956年にソ連と平和条約を結ぼうとして、歯舞と色丹を返還して日本領とする事で話がまとまりかけましたが、冷戦によりソ連と激しく敵対するアメリカが、南千島も日本領とするよう強い圧力をかけてきました。
(国後・択捉がソ連領になれば、北海道に近すぎるし、そもそも日本とソ連の平和条約締結に反対の意向でした)
そこで日本は仕方なく、南千島は千島列島に含まれないと言い出し、大規模な「北方領土返還キャンペーン」を国内で運動しはじめました。(アメリカに逆らえない日本です)
ソ連との平和条約締結を直前でひっくり返された日本政府は、その代わりとして平和条約を締結する時には、歯舞と色丹は返還されるとの「日ソ共同宣言」を締結しました。
日本としては、隣国であるロシアと正式に戦争状態終結の平和条約を早期に締結したいが、アメリカのご機嫌も損ねたくなく現在に至りますが、今回、絶好のチャンスが訪れました。
資源安とクリミア問題による経済制裁により経済がボロボロなうえに、ドーピング問題で世界から白い眼で見られているロシアにとって、日本との友好関係構築は一筋の光明になります。
又、待ったを掛ける筈のアメリカは、政権が代わる大統領選挙の真っただ中で、他国の干渉をしている暇が無い状態です。
任期が僅かなオバマ大統領も「平和・平和」のオンパレードなので、現政権から待ったが掛かることはありません。
日本も安倍政権が長期安定化しているため、プーチン大統領との信頼関係も構築できています。
正に、今が「外交の機微(きび)」と言えます。
過去の経緯を正確に理解したうえで、2島返還によるロシアとの平和条約締結を、私は支持致します。
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