業界を震撼させる「かぼちゃの馬車」事件。
2018/04/15
不動産業界の「サブリース事業」を震撼させる事件が起きている。
「かぼちゃの馬車」のブランド名にて、女性限定シェアハウスを運営していた運営会社が破綻した。
昨年の11月分より、既にサブリース料を支払えない状態であり、今回の事態はもはや時間の問題であった。
民事再生法申請の後に、オーナー向け説明会を行ったが、予想どおり怒号が荒れまくった集会となった。
今回の事件の仕組みは、シェアハウスのオーナーから一括借上げをした「スマートデイズ」が、転貸借人が集まらず賃料が支払えなくなり、契約解除を申し出たとの内容ですが、こんな単純な話では無いのが今回の事件です。
問題なのは、土地・建物のぼったくり販売と、そんな高額な売買契約を可能にした「不正融資疑惑」が、問題を複雑にしています。
オーナーにしてみれば、入居者の有無に関わらず安定した賃料収入があるので、赤字にならず採算が取れる土地・建物価格なら問題視しないものです。
しかも、金融機関(ほぼスルガ銀行のみ)が融資してくれるなら、何も問題ない話となります。
ところが、サブリースと言えども借家法という強烈な法律の適用を受けますので、賃借人側(サブリースのスマートデイズ)からの、賃料減額や契約解除の権利は優遇されています。
つまり、法的にはスマートデイズが30日前まで解除通告すれば、いつでも一方的に契約を解除する事が可能なのです。
オーナーにとってはたまったものではありません。家賃収入が0円なのに、何億円という借金の返済は毎月やってきます。物件を売却して借金を返そうとしても、真っ当な評価額にかけ離れた「高額ぼったくり価格」で買わされているので、とても残債元本を返せないし、入居者のいないシェアハウスを、わざわざ買うお人好しな買主も現れません。
そこで、窮地に陥ったオーナー達は、融資に不正があったとして、安易に融資したスルガ銀行が悪いと主張し、融資の返済を停止すると申入れを行いました。
(言いがかりを付けて、借金を支払わないとの行為にも見えます)
スルガ銀行も、限りなく黒に近いグレーで、「脛に傷を持つ身」なので、当面は法的措置(抵当権行使による競売手続き)を行わない方針のようですが、金融庁の立入検査も行われたようで今後の動向が注目です。
私から言わせれば、何の苦労もせずに儲かると思って契約したオーナーも、からくりを承知で勧誘した仲介会社や運営会社も、将来的な破綻を予測しながらも高利で融資したスルガ銀行も、関係者全てに責任があると思います。
結局のところ、私利私欲を求めた「三者三様」が、上手く事が運ばなくなったので、責任の擦り合いをしているだけと思われます。その為に不動産業界の信頼が傷つけられる事が許せません。
真面目に仕事をしている業界人として、こんな腹立たしい事はありません。今後はサブリースに対する風当たりが強くなり、サブリース市場が縮小する事が懸念されます。
サブリースを主力事業としている会社への影響が懸念されます。サブリース事業が不調となれば、この契約を致し方なく解約するだけなので、空室を抱える多くのアパートオーナーが路頭に迷う事態も予測されます。
今回の事件の小さな亀裂が、いづれ大きな不動産事業の崩壊へ繋がらないことを祈るばかりです。
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