身近な「8050問題」。
2019/06/09
元農水省事務次官であったエリート官僚が、引きこもりの息子を殺害するという事件が起きた。
マスコミ報道からの情報では、何とも悲しい事情がありそうである。
先日、川崎で起きた小学生ら20名に及ぶ刺殺事件の犯人も中高年の引きこもりであったが、今回殺害された息子も同じような状況であったとの事である。
引きこもりで、家庭内暴力を繰り返す息子が、隣の小学校で行われている運動会の騒音に激怒し、「子供を殺してやる」と叫びだし、致し方なく父親が息子を刺したとの事です。
自分も同じ状況だった場合、私ならどうしただろうか?と自問自答してみた。余裕があるなら息子を部屋に閉じ込め、すぐに警察に通報して拘束してもらおうと思うのだが、もっと緊迫した状況であるなら、私も実力行使に及ばざる負えないかもしれない。
立て続けに中高年の「引きこもり」に関連する殺人事件が発生し、「8050問題」というワードがクローズアップされてきた。
80歳代の親が、50歳代の引きこもりの子供の面倒をみなければならないという社会問題との事です。私も50代なので、まさにジャストフィットな問題です。
この問題は、ごく少数の別世界で起きている問題では無く、本当にごくごく身近な問題だと思います。仕事柄なのかも知れませんが、私も3人ぐらい中高年の「引きこもり」の方を知っています。
厚労省が初めて実態調査したところ、中高年の引きこもりは61万人以上もいることが判明しました。以前から問題になっていた若年層の引きこもり数よりも多いとの事です。
若年層の引きこもりが長期化して、中高年の引きこもりとなる例もありますが、普通の人が突然「引きこもり」になるのが、中高年層の多いケースです。
私が知っている中高年の引きこもりの方も、失業の後に再就職がうまく行かず、再就職活動が長期化する内に就業意欲を失って引きこもり、果てには人生への意欲も失っているような状況です。普通に働き、結婚して家族を持っていた方が、失業を起因として人生が狂い始め、離婚されて実家に戻るか生活保護に陥り「引きこもる」とのパターンが多く、圧倒的に男性に多いようです。
仕事と家族を失い、社会から隔離されたような疎外感を覚え、いい年をしながら高齢者の親に生活を頼らなければならない劣等感。何かをきっかけに家庭内でトラブルになることは容易にわかります。年功序列給与による生涯雇用制度が崩壊し、人手不足と言われながらも中高年に厳しい再就職。現代社会の矛盾が「8050問題」の原因ではないのでしょうか?
この問題は、中高年の男性に普通に起こりえる、明日は我が身と言える身近なリスクと言えるでしょう。
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