連日ワイドショー等で取り上げられている「吉本騒動」ですが、元々の問題は何だったのか？本質を見失ってきた感がある。

この騒動の「発端」は、反社会的勢力の宴会に、吉本芸人を含む複数のタレントが、所属事務所の許可を得ず参加したことである。（闇営業と言うらしい）

この宴会の主催者が「反社会的勢力」であった事は、当時は分からなかったと思われるが、数年後に「振り込め詐欺集団」であったことが判明し、倫理的に問題があると週刊誌で報道された。

非合法な方法にて得た資金から「ギャラ」をもらった事と、所属事務所に内緒にて行った事が、社会人としての倫理に反するとの事であるが、私としてはちょっと納得できない。

各芸能事務所によっても違うだろうが、少なくとも吉本芸人には、文書による「契約書」が存在せず、就業規則により拘束される会社員ではなく、独立した「個人事業主」であるからだ。

つまり、吉本興業から仕事の斡旋を受けても良ければ、自力営業にて仕事を得ても良いのである。吉本興業の契約（口約束）は、単に斡旋した仕事のギャラの分配方法のみとの事である。

暴力団や詐欺集団などの「反社会的勢力」と関係を持つことは、社会一般から非難されても仕方なく、それは自分自身にて責任を負わなければならないと思う。今回の問題点は「この一点」のみの筈なのに、いつの間にか「雇用問題」や「パワハラ」・「言い訳の矛盾点」・「吉本興業の企業統治のあり方」等、話題の方向性がズレてきている。

吉本興業の社長会見で、論点が噛み合わない返答を繰り返す社長が「頼りなく交代か辞任させるべきだ」とか、経営陣を総退陣させるべきだとか、吉本興業にとっては不憫な話になっている。

吉本興業は芸能界での存在感が大きく、公共事業にも数多く進出している。所属タレントを含めて企業自体にも「倫理的良識」が求められるのもある程度理解できるが、商品が「お笑い」なので役所のようにお堅い企業では成り立たないのではないだろうか？あくまでも芸人には「自由奔放」に活動してもらいたい。その中で人として失敗する事もあるだろうが、「やっぱりあの芸人は馬鹿だな～」「本当にしょうがないな～」と世間に思われる程度で良いのでは無いだろうか？芸人に品行方正な倫理観を求めれば、人を笑わせることなど不可能ではなかろうか？と私は思います。