「科学的根拠」と「心情」。
2023/08/27
福島第一原子力発電所の、汚染処理水の海洋放出がいよいよ始まった。
原発事故から12年が経ち、貯蔵タンクも限界に達しており、もはや待ったなしの状況であった。
2年前の菅政権時代に方針を示したが、本来なら先送りしたい問題を、岸田首相は果敢に実施した。この政治実行力と責任感に対して私は評価したい。
事故を起こした原子炉からの「汚染水」を、多核種除去設備(ALPS)にてトリチウム以外の核物質を除去した「処理水」として、厳しい基準値以下までに希釈してから海へ放出する。
科学的にはWHOが規定する飲料水の基準より少ない濃度だが、科学的根拠よりも「心情」の方がどうしても優先されてしまう。同じ水道水でもキッチンの蛇口からの水なら飲めるが、トイレの手洗い水栓の蛇口からの水は飲めないようなものだ。(同じ水質の水なのに)
問題のトリチウムは自然界にも存在しており、他の核物質のように生物の体内に蓄積されることもない。(現在のところ、海洋放出開始後も海水に変化なしとの事)
国際原子力機関も科学的には問題なしとの評価をしているが、中国だけが過激に反応して急遽「水産物及び加工品」の全面輸入禁止措置を行ってきた。
米中新冷戦の最中で、政治的にアメリカに追従する日本に対し、嫌がらせとも思える措置や中国国内での日本バッシングのプロパガンダが横行している。
日本の農林水産物輸出の4割は中国・香港であり、その中でも水産物は5割が中国・香港であり、経済的影響は侮れない。
今回の海洋放出は廃炉完了まで続く。現在、デブリ取出しの方法すら目途が立っていないので、今後何十年も継続される事となる。この世には「絶対は無い」ので、この処理水放出にも問題やトラブルが発生するかもしれない。日々のモニタリングの厳格化と透明化(公開)を根気強く行い、信頼を勝ち得るしか方法は無いと思う。漁業者は風評被害を懸念しているが、私は今でも愚直に放射能の全量検査を行っている「常磐物水産物」が安全・安心だと思っている。私は意識的にもこの地域の魚を食べて行きたい。
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