解決不可能な「パレスチナ問題」
2023/10/15
10月7日の早朝に、中東のパレスチナ自治区のガザ地区から「ハマス」の戦闘員が、イスラエルに侵攻し住民の殺害や拉致を行い、イスラエルの報復攻撃も始まり大規模な戦闘となっている。
この「パレスチナ問題」は、歴史的にも宗教的にも複雑で、一朝一夕には解決不可能な問題である。パレスチナ民族もユダヤ民族もそれぞれ被害者であり、両者とも主張は正論である。
パレスチナ問題の起因は紀元前まで遡ります。当時のパレスチナ(地名)はローマ帝国のユダヤ属州であり、ユダヤ教の指導者の訴えにより、この地でイエス・キリストを処刑して「聖墳墓教会」が造られました。100年後にローマ帝国内でのキリスト教の流行と共に、ユダヤ民族はイエスを殺した憎き民族としてこの地を追われ、地中海周辺各地へ離散して行きました。(この時、エルサレムの神殿が壊され、その残骸が「嘆きの壁」です)その500年後に衰退したローマ帝国に変わり、この地はイスラム教のウマイヤ朝が征服し、ムハンマドが昇天した岩の場所に「岩のドーム」が造られました。従って、この地エルサレムは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地となっている「歴史的にも特別な地」なのです。その後も十字軍による征服や、オスマン帝国の征服など、宗教戦争によりキリスト教やイスラム教の各勢力による支配が交互に入れ替わりました。
その後長い年月を経て、ヨーロッパ各地で生き残ったユダヤ人が努力の末に、強い経済力や高い知識層を有する民族となり、第一次世界大戦の頃には各戦時国がユダヤ人に支援を求め、その見返りとしてユダヤ国家を創設する運動が起きました。
当時の世界最強国だったイギリスが、エルサレムを含むパレスチナの地に対し、アラブ人にも独立国家樹立を約束し、その裏ではフランスと分割支配する密約を交わし、ユダヤ人へも国家建設を支持するとの宣言をします。(有名なイギリスの三枚舌外交)
第二次世界大戦では、ナチスドイツによる大規模なユダヤ人への迫害・虐殺が行われ、世界はユダヤ民族を哀れみユダヤ国家樹立の機運が高まりました。第二次世界大戦の戦勝国となったイギリス・フランス・アメリカの後押しにより、パレスチナの地にアラブ人とユダヤ人の国家を分割樹立する事が国連で採決され、満を持していたユダヤ人が「イスラエル」を建国しました。
知識も高く経済力もあるユダヤ人は、パレスチナ人がもたもたしているうちに素早く建国し、周辺のアラブ諸国が反発して戦争になっても、急速な軍事力増強と諜報力により、執念で度重なる中東戦争(第一次~第四次)に勝利して領土を広げて行きます。移民の国「アメリカ」にもユダヤ系は多く、潤沢な経済力を背景にアメリカの民主党にも共和党にも強い影響力を持っています。(中東における西側諸国の砦の役割)
世界の火薬庫と呼ばれる「中東問題」を解決すべく、30年前の1993年に歴史的な「オスロ合意」が締結され、パレスチナ問題は和解して共存共栄の道ができた筈でした。しかし、この歴史的な和解案は7年と持ちませんでした。
せっかく両者の優れた指導者が英断しても、時間と共に両国に右派政権が誕生し、武力にて問題解決する政策がとられ小競り合いが頻発しました。イスラエルの経済力や軍事力により、周辺のアラブ諸国との国交正常化の機運が高まり、今回ガザ地区を掌握する武装組織の「ハマス」が大規模攻勢に打って出てしまいました。当然ながらイスラエルも倍返しの報復をするので、既に両者で3000人以上の犠牲者が発生し、今後はイスラエルの地上侵攻も予想されるので犠牲者は更に増えると思います。
家族や親戚を殺されれば、恨みに思わない人間はいません。怨念の連鎖が和平を遠ざけます。せっかく和平に動いていた周辺のアラブ諸国やヨルダン川西岸地区の実質統治組織「ファタハ」なども武力介入するかもしれません。同じアラブ人でイスラム教徒の同胞であるパレスチナを見捨てる事はできないと思います。西側諸国は早々にイスラエル支持を表明しましたが、過剰な報復は望んでいません。ウクライナ戦争の最中に大規模な第五次中東戦争が勃発するかも知れません。「唯一神」を信じる「一神教」であるのが、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教である。万物に神が宿る事(八百万の神々)を信仰する「多神教」の日本人には理解できないDNAが有るのかもしれない。
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